出歩くことのできない高齢者の公正証書遺言の作成について

 父親が遺言を作成したいと考えていますが、後々揉めないように公正証書遺言で作成したいと考えております。以下のそれぞれの場合に、公正証書遺言を作成することはできますか?

  1.  父が寝たきりで出歩くことができない場合
    1.  一般的には、公正証書遺言を作るときは公証役場で作成しますが、本人が公証役場に赴くことができない特別の事情があるときには、公証人が本人のもとに赴いて公正証書遺言を作成することも可能です。
    2.  住んでいる場所を確認させていただき、その住所を管轄する公証役場を探し、当該公証役場の公証人の先生と打合せを行って、お父様が住んでいる場所へ出張いたします。
    3.  その場合の公正証書遺言の作成費用は、通常の作成費用の1.5倍程度となります。また、公証人の日当(4時間まで1万円、1日2万円)と交通費、立会証人を第三者に依頼する場合は、その証人費用も別途かかります。
    4.  なお、公正証書遺言を作成するには、自分の財産を誰に相続させたいのか判断できるだけの能力(遺言能力)が必要とされ、自ら公証人に遺言内容を口述できる必要があります。
  2.  父が運動障害による寝たきりの状態で文字を書けない場合
    1.  文字が書けない場合でも公正証書遺言を作成することは可能です。 
    2.  原則として、公正証書遺言には、遺言者本人の署名が必要になりますが、遺言者が署名することができない場合、公証人はその事由を付記して、本人の署名に代えることができます。
    3.  そのため、文字が書けない場合も、公正証書遺言を作成することはできます(民法第969条4号)。