同族会社の経営権争いと株式の買い取り

  1.  株式会社A社(譲渡制限会社)は、先代社長Bが設立した会社でしたが、Bが死去し、その保有していた株式5000株(発行済株式全部)は、Bの子であるC・D・E・F・Gがそれぞれ1000株ずつ相続により取得し、長兄であるCが代表取締役に就任し、他の兄妹は皆取締役に就任していました。

     ところが、C・D・E(合計3000株)が結託して会社の利益を自分達で分配しようと考え、F・Gを取締役から外してしまいました。

     この会社は、利益は上がっていて会社の内部留保がそれなりにありましたが、配当をしたことはなく、C・D・Eは、多額の役員報酬を得ている一方で、F・Gは配当も得られず、ただ株式を保有しながら途方に暮れているだけでした。

    F・Gは困って、当事務所に相談に来ました。

  2.  F・Gとしては、Cを会社から追い出したいという気持ちもありましたが、D又はEをこちらの味方にすることは難しく、株式数では長男グループに過半数を握られている以上、それは望んでも実現できない話しでした。
  3.  しかし、会社の経営状況を調べてみると、A社の経理処理に不審な点が見られましたので、F・Gは、帳簿閲覧請求権等の少数株主権を行使して、A社の経営の適正化を求め、あるいは、株主総会のずさんな運営に対して、総会決議の不存在確認を求める訴訟を提起しました。
  4.  訴訟手続きの中で、裁判所の和解勧告がありCがF・Gの株式を相当な価格で買い取る和解が成立して解決することができました。