不当解雇から従業員の生活を守る手続き

労働契約上の地位保全・賃金仮払い仮処分

 

  1.  謂われのない理由で会社を解雇予告されたと訴える人が相談に来ました。事情を聞いた結果、確かに、経営者や経営者に近い人たちの主観的な好き嫌いで解雇している側面が強いと思われました。
  2.  まず、解雇理由の証明書(労働基準法22条2項)を速やかに請求するようにアドバイスしました。
  3.  また、本格的な裁判をしていると時間がかかるので、保全手続を勧めました。本人は職場復帰を望んでいたので、賃金仮払い仮処分に加え、労働者たる地位保全の仮処分も申立てました。
  4.  労働者たる地位保全の仮処分は、仮処分段階で職場復帰させるものであり、よほどのことがないと(極めて強い保全の必要性がないと)認められないのが通常ですが、申し立てることにしました。
  5.  仮処分申立後、審尋が始まり、会社側は解雇理由書に記載した内容とは比べものにならない位の膨大な事実関係を主張してきました。

    ただ、反論の大半は、客観的な裏付けのないもので、合理的な反論にはなっていませんでした。
    当事務所は、これらの点を強調し、和解により職場復帰させることを目指しました。和解による解決を目指したのは、たとえ解雇理由が理不尽なものであっても、上記のとおり、極めて強い保全の必要性(職場復帰させる必要性)がないと仮処分で職場復帰までは認めてもらえないからです。

  6.  裁判官も、会社側の主張の理不尽さを理解していただいたようでした。そして、どうしても職場復帰したい気持ちを裁判官に伝えたところ、裁判官が会社を説得して、職場復帰の上、会社に出社できなかった期間の賃金の支払いを内容とする和解を成立させることができました。