建築確認を要する大規模修繕・大規模模様替え
木造2階建て建物が老朽化しているため、使えるようにリフォーム工事を検討しています。
ただ、2025年4月1日に改正建築基準法が施行されて、木造2階建ての建物のリフォームであっても建築確認が必要な場合があるとのことですが、以下のような工事を行うにあたり建築確認は必要でしょうか?
1) (小問1)
10本中6本の柱が白蟻被害のため、6本の柱の下の方を切り取り、継柱の
工事を行う予定です。
2) (小問2)
屋根葺材をとったところ野地板も傷んでいることから、屋根の総水平投影面
積(建物を真上から見たときの面積)の60%について、野地板を交換した上
で、スレートを防水シートとガルバリウム鋼板の屋根材に交換する予定です。
- 建築確認が必要な「大規模修繕」、「大規模模様替え」とは
- 「修繕」とは、既存の状態を維持するため、既存の材料と同じ材料により、既存の形状を維持・更新・復元する工事をいい、「模様替え」とは、既存の材料と異なる材料を用いて、既 存の状態の改良・変更を行う工事をいいます。
- 「大規模」とは、建築物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕・模様替をいいます(建築基準法2条4号、14号、15号)。
したがって、構造上重要な部分でない間仕切壁や、間柱、揚げ床、最下階の床は主要構造部に含まれません。大規模修繕になるか、大規模模様替えになるかの区別は微妙な判断を伴いますが、いずれに分類されるかは別にして建築確認が必要ですので、以下では、大規模修繕と大規模模様替えを併せて「大規模修繕等」といいます。 - 「過半」の修繕・模様替は、主要構造部ごとに行い、以下のような割合が50%を超えるものをいいます。現実問題として、現地の状況が不明な場合もあり過半の判断は難しいので、建築士に依頼して行政と相談してもらうのが望ましいと思われます。
(1) 壁 総面積に占める割合
(2) 柱 総本数に占める割合
(3) 梁 総本数に占める割合
(4) 床 総水平投影面積に占める割合
(5) 屋根 総水平投影面積に占める割合
(6) 階段 その階ごとの総数に占める割合 - 小問1
- 小問1の継柱の工事は、主要構造部である柱のうち10本中6本(過半)を対象として、既存の材料と同じ材料により、元の形状を維持しようとするものですので、「大規模修繕」に 該当します。
- そのため、小問1の工事を行うには建築確認申請が必要となります。
- 小問2
- 屋根に関して主要構造部というのは屋根葺き材のスレートや下の防水紙ではなく、一般的にはそれらを支える野地板(下地材)をいいます。
- したがって、例えば、屋根葺材のスレートが割れてしまったので、屋根全面につき、スレートとその下の防水シートを撤去し、ガルバリウム鋼板の屋根材に交換した場合でも、野地板を交換しなければ、大規模修繕等に該当しないので、建築確認申請は不要となります。
ただし、具体的にどのような場合に建築確認申請が必要なのかは各自治体によっても見解が多少異なると言われています。 - また、もともとあった屋根葺き材は防水紙を全くいじらず、その上に二重に屋根葺き材と防水シートをのせて全体の屋根葺き材を二重にする工法(カバー工法)も、野地板の交換を伴いませんので、大規模修繕等に該当せず、建築確認申請は不要となります。
- 屋根の「過半」は水平投影面積に占める割合で判断し、勾配を考慮した面積ではありませんので注意が必要です。
- 小問2では、屋根の野地板(下地材)を60%(過半)交換しますので、大規模修繕等に該当します。
よって、建築確認申請が必要です。
建築基準法第2条(用語の定義)
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
5 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上
重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床
、小ばり、ひさし、局部的な小階段、 屋外階段その他これらに類する建
築物の部分を除くものとする。
14 大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修
繕をいう。
15 大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の
模様替をいう。
木造戸建ての大規模なリフォームに関する建築確認手続について【令和7年1月14日時点】(国交省)
屋根ふき材のみの改修を行う行為は、法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替には該当しないものと取り扱って差支えない。
また、既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせるようないわゆるカバー工法による改修は、法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替には該当しないものと取り扱って差支えない。