大規模修繕の該当性
改正建築基準法の施行後(2025年4月1日以降)、接道の要件を満たさない中古住宅を購入したいと考えていますが、以下のような工事は「大規模修繕等」となり、建築確認が必要ですか?また、罰則はありますか?
1) (小問1)
建物全体はしっかりしているので、屋根・壁・柱・階段等の修繕は必要があ
りませんが、既存の断熱材では断熱性能が低いので、内側の石膏ボードを全部
剥がして、内側から新たな断熱材を入れる。
2) (小問2)
購入予定の中古住宅は、根太、梁はしっかりしていますが、フローリングが
傷んでいるため、フローリングの貼り替えをする。
3) (小問3)
大規模修繕・大規模模様替えに該当するリフォーム工事について、確認申請
をしないで工事を始めた場合、施主と工事業者は処罰される可能性はあるでし
ょうか?
- 小問1
- 所有者(買主)が、外壁の内側から工事をする際、建物を支える外壁はいじらず、構造体ではない内側の石膏ボードだけを壊して断熱材を入れ替えるのであれば、大規模修繕等にはならず、建築確認は必要ありません。
- 建築確認が必要な大規模修繕等とは、建築物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根又は階段)の改修を指すので、外壁をいじらず「主要構造部」にならない内側の石膏ボードだけを壊す場合は、大規模修繕及び大規模模様替えには該当しません。したがって、建築確認申請は不要です。
- ただ、外壁の全て(厳密には外壁の過半)をいったん壊してしまうと、構造体である外壁も壊すことになるので、大規模修繕及び大規模模様替えに該当し、建築確認申請が必要となります。
- (国交省)木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について【令和7年1月14日時点】11頁では、以下のように説明されています。
○外壁の外装材のみの改修等を行う行為、又は外壁の内側から断熱改修等を行う行為は、法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替には該当しないものと取り扱って差支えない。
○ただし、外壁の外装材のみの改修等を行う行為であったとしても、当該行為が外壁の全てを改修することに該当する場合は、この限りでない。
○既存の外壁に新しい仕上材をかぶせるような工法による改修等を行う行為は、法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替には該当しないものと取り扱って差支えない。
建築基準法第2条第14号
大規模な修繕・・・建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。
建築基準法第2条第15号
大規模な模様替・・建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。
- 小問2
- フローリングは床そのものではなく、建物の床に貼る仕上げ材に過ぎません。そのため、根太(床下地支えるための角材をいい、等間隔で設置されます。)やその下の梁を改修しなければ、フローリング等の仕上げ材を貼り替える工事は、大規模修繕及び大規模模様替えには該当しませんので、建築確認申請は不要です。
- また、既存床の仕上げ材の上に新しい仕上げ材をかぶせる改修も大規模修繕及び大規模模様替えには該当しませんので、このような点からも、フローリングの貼り替えについては、建築確認申請は不要です。
- 小問3
- 大規模修繕・大規模模様替えとして確認申請が必要な場合、建築基準法6条8項で、確認済証の交付を受けた後でなければ工事ができないと定められています。
- 上記規定に反して、確認申請をしないで工事を始めた施主は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金となります(建築基準法99条1項一号、1項本文)。また、施工業者も1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金となります(建築基準法99条1項二号、1項本文)。
- 宅建業者が建築基準法に違反して、確認申請をしないで大規模修繕等を顧客に勧めると、「建築基準法の違反行為の教唆」となり、宅建の免許にも影響する可能性があるので、宅建業者は、売買仲介を成立させるため、確認申請をせずに、違法な大規模修繕工事を行うことを買主に勧めてはなりません。