借地の更新拒絶

 私は、昭和25年頃から借地人に建物所有目的で貸している土地を、父の相続によって取得しています。借地上の木造2階建ての建物が老朽化してきたため、現在の契約期間20年の満了時に借地人において建物を解体・撤去して、土地を返してもらいたいと考えています。借地人は未だ老朽化した建物に居住していますが、期間満了時に更新拒絶をすれば、土地の返還請求は認められるでしょうか?

  1. 更新拒絶
    1.  更新拒絶とは、契約の更新に対して異議を述べることをいいます。
    2.  更新拒絶には、①期間満了時の借地人の更新請求に対して行うものと、②借地人が存続期間満了後も土地の使用継続をする場合に行うものがありますが、いずれの場合であっても、「正当事由」がないと更新拒絶の効果(借地契約の終了)は発生しません。
    3.  また、更新拒絶は、「遅滞なく」述べる必要があるため、期間満了後、数ヶ月にわたって漫然と放置をした後に更新拒絶をしても、更新拒絶の効果が認められなくなってしまいます。また、期間満了後の借地人による賃料の支払についても、異議がないものとみなされないよう、受領を拒絶するか、あるいは、「賃料相当損害金として受領する」旨を通知しておく必要があります。
  2. 正当事由
    1.  更新拒絶をする際に必要となる「正当事由」は、貸主・借地人が自ら土地の使用を必要とする事情を中心的要素として、借地に関する従前の経過、土地の利用状況、貸主が借地人に提示する立退料の有無及び内容等を補完的要素として、その有無が判断されます。
    2.  具体的な正当事由の有無の判断にあたっては、貸主・借地人双方の土地の自己使用の必要性を比較衡量して、貸主の正当事由を満たすかどうかを判断し、この自己使用の必要性だけで結論を導くことができない場合には、その他の要素を補充的な要因として考慮して正当事由を満たすかどうかを判断します。言い換えれば、幾ら高額な立退料を支払ったとしても、それだけで正当事由が認められることにはならないということです。
    3.  借地借家法は、借地人保護の立場に立っているため、借地人が現に住居や営業用の店舗等として恒常的に建物を使用しているケースでは、通常、貸主の土地使用の必要性よりも、借地人の土地使用の必要性の方が高いため、貸主に正当事由があるとは認められません。そのため、本件のように、単に建物が老朽化しているという事情のみで正当事由の要件は満たさないため、貸主は土地の返還を求めることはできません。
    4.  本件でも、貸主において、親族を住まわせる必要性がある、周辺土地と共に開発をする計画がある等、具体的な土地使用の必要性を証明し、かつ、借地権と建物の時価相当額以上の立退料の支払い提案をしないと正当事由は認められないものと考えます。